サボる日を、先に予定に入れておく。
先週は一度も走りませんでした。
福岡に来てから「週3回、朝に大濠公園を走る」というチャレンジを続けています。続けていると言っても、達成できた週の方が少ないです。最近ようやく初めて3回走れた週があり、その翌週は0回でした。走った日は体重計に乗ります。走らなかった週は体重計の前を通りません。見なければ増えません。
これを読んで「だらしない」と思った人ほど、この先を読んでほしいと思います。計画が崩れたときに一番つらいのは、だらしない人ではなく、真面目な人です。私のように体重計を避けて平然としていられる人は、そもそも計画が崩れたことで悩みません。悩んでいるのは、1日やらなかっただけで「全部ダメになった」と感じる人です。
計画表に、休みの日がない
面談で計画表を見せてもらうことがあります。月曜から日曜まで、英単語、数学のワーク、現代文、きれいに埋まっています。盆も正月も入試当日もありません。工場でも休みます。
「サボる日はどこですか」と聞くと、だいたい「ないです」と返ってきます。「風邪をひいたら?」と聞くと少し黙って、「……ひかないようにします」。気持ちはよく分かります。私も学生時代、同じ顔で同じことを言った記憶があります。
この計画の末路は決まっています。3日目あたりで寝坊するか、頭が痛いか、友達から連絡が来るかして1日やらない。4日目に「もう崩れたから」と手が止まり、5日目には計画表が机の引き出しの奥へ移動します。塾業界に20年いて、この引き出しの奥を数えきれないほど見ました。むしろ、引き出しに入らなかった計画表の方を数えた方が早いです。大丈夫です。よくあります。
真面目なのは結構です。困るのは「毎日」「必ず」「全部」の三つが計画に入っていることです。365日全部やる計画を立てて本当に365日やった人がいたら、その人は受験よりも修行の方で名前が残ると思います。
満点を取る競技ではない
ここで一度、入試本番の話をさせてください。
本番に弱い人には共通点があります。神経質な完璧主義で、ひとつ失敗すると気が動転してペースを崩す。英語の第一問が読めなかっただけで、残りの問題まで壊滅する。私の知る限り、天才と呼ばれていた人でもこれをやります。学力の問題ではありません。失点を予定に入れていなかったことの問題です。
考えてみてほしいのですが、入試で満点を取って合格する人はいません。合格した人は全員、どこかで点を落として受かっています。ざっくり3割前後落としても受かる試験が多いのに、1問の失点に動転するのは、「自分は満点を取る予定だった」と宣言しているようなものです。そんなに完璧な学力があるのですか、と昔は口に出していましたが、今は口に出しません。私自身、満点を取ったことがないからです。
本番に強くなる方法は単純で、「失点を先に織り込んで、トータルの点数で考える」こと。これは入試だけの話ではなく、毎日の勉強にそのまま当てはまります。7日のうち7日やろうとするから、1日の失敗で崩れる。7日のうち5日でいいと最初から決めておけば、1日休んでもまだ余裕が1日あります。安心して失点していい、安心して休んでいい、ということです。
「木曜は未定」と書く
やり方は難しくありません。みなさんの来週の予定に、先に「サボる日」を書き込みます。
たとえば「月・水・金・土はやる。火と日はやらない。木は未定」。木曜が未定なのは、人間がそんなに正確に自分を予測できないからです。やる日のメニューも減らします。今まで1日3科目だったなら、1科目に。「それだけで大丈夫ですか」と不安になる人がいますが、3科目を3日で投げ出すのと、1科目を1ヶ月続けるのと、どちらが先に進むかは計算するまでもありません。
いいですか。サボる日は、予定通りサボってください。罪悪感は要りません。予定通りです。サボる日についうっかり勉強してしまった場合は計画違反になりますが、特に罰則はありません。
このやり方の肝は、「やらなかった日」が失敗でなくなることです。失敗でなければ、翌日に持ち越す重さがありません。「昨日やらなかったから今日もいいや」という、受験生の口ぐせの横綱みたいなあの言葉が出てこなくなります。昨日は予定通りサボった日で、今日はやる日。それだけです。
宝くじを1枚だけ買って泣く人
それでも崩れるときは崩れます。やる日に風邪をひき、未定の木曜も寝て、気がついたら週0回。私の走らなかった週と同じです。
そのときは、宝くじのことを思い出してください。1枚100円、1等1万円の宝くじがあるとして、1枚買って外れた人が「俺はもうダメだ、人間として終わっている」とはならないはずです。もしそんな人がいたら、かける言葉は「え、もっと買えば?」以外にありません。かかるコストに比べて、当たったときのリターンが大きすぎるからです。
チャレンジも同じで、1回失敗した週は、宝くじが1枚外れただけです。もっと買えばいい。しかも宝くじと違って、チャレンジはお金がかかりませんし、やり方を変えることで当たる確率を上げられます。先週の私の0回は、「朝に走る」を「夕方に走る」に変えてみる材料になりました。まだ試していませんが。
もうひとつ、走ったり走らなかったりを長いこと繰り返して分かったことがあります。いい習慣は続きません。ただ、悪い習慣もずっとは続きません。走らない生活に飽きてくると、人はまた走り始めます。走ったあとで豚骨ラーメンの替え玉をしてしまうので、体重に関しては差し引きゼロですが。
再始動ラボの週は、はじめから休みが入っています
再始動ラボでは、週の計画に最初から「やらない日」を入れてもらいます。やる日のメニューはひとつ。やらない日は本当に何もしません。崩れた週は宝くじの外れとして数え、翌週にもう1枚買います。
真面目さは、そのままで結構です。緩めるのは「0か100か」の方だけ。100の計画を立てて3日で0になるより、60の計画を立てて60で終わる方が、トータルの点数は圧倒的に上です。入試も、毎日の勉強も、ついでに私のランニングも、全部そういう競技だと思います。